大学院経営学研究科 森下 あや子 教授が、経済産業省「令和7年度産業標準化事業表彰」受賞
本学大学院経営学研究科の森下 あや子 教授が、経済産業省「令和7年産業標準化事業表彰(*)」において、「イノベーション・環境局長表彰」を受賞いたしました。

森下 あや子 教授(右)・都市センターホテル(東京都千代田区)で開催された表彰式の様子

今年、イタリア・ミラノで開催された「ISO/TC142会議」では議長として国際規格策定を推進
*…「産業標準化事業表彰」は、日本産業規格(JIS)や国際規格等の作成、普及・促進、標準化を活用した市場創出や社会課題の解決等に功績のあった個人及び組織、並びにこれらの活動において今後の更なる活躍が期待される個人を表彰する制度です。
受賞の功績
小型集じんシステムは、生産台数が多く、専門知識を持たないユーザーにも広く利用されていますが、これまで共通の試験規格が存在せず、製品選定に際してはメーカーの公表情報に依存する傾向がありました。今回の国際規格により、小型集じんシステムの性能を共通基準で評価することが可能となり、製品の信頼性と透明性が向上します。
また、バグフィルター用ろ過材に関する一連のISOおよびJIS規格の整備により、使用環境や運転条件、経時変化などを考慮した性能評価を同一基準で実施できるようになりました。これにより、国際的な整合性の確保と製品開発の高度化が期待されます。
受賞理由
✓「WG5」では、議長として「ISO 16313-1」を最終国際規格案(FDIS)成立を主導
✓「WG7」では、エキスパートとして「ISO 22031:2021」および「ISO 23742:2024」制定に貢献
「ISO/TC142(空気およびその他ガスの清浄装置)」において、2016年より「WG5(集じん機・液滴分離機・清浄機)」および「WG7(バグフィルタ用ろ過材)」のエキスパートとして活動してきました。2022年12月からは「WG5」コンビーナ(議長)を務め、技術的専門知見に基づき、公平な立場から国際標準化の議論を推進する重要な役割を果たしました。
国内では集じん装置のJIS化にも主導的に関わり、JIS原案作成委員会副委員長として「JIS Z 8910:2025」の制定に尽力しました。
森下 あや子 教授 コメント

規格化活動の原点は、1989年制定の「JIS Z 8908」にさかのぼります。
その後、ISO化への道を切り開く過程では、開発の舞台となる技術委員会の選定から始まり、産学官の連携構築、海外の技術者・研究者への理解促進など、数多くの挑戦と努力が重ねられました。私たちはその延長線上で活動を続けています。
国際標準化は長距離走であり、技術的妥当性に加え、各国の産業界・学術界・行政の合意形成という“見えない設計”が求められます。先輩方からのバトンを受け継ぎ、今後も粘り強く活動を続けていきたいと思います。