ウクライナ留学生が岩田産業でインターンシップ実施。フードフェアでウクライナの“食”を紹介しました

本学に在学するウクライナ人留学生10名が、業務用総合食品商社・岩田産業にてインターンシップを行いました。岩田産業様には、本学がウクライナ留学生の受け入れを開始して以来、継続して就学支援をいただいています。今回のインターンシップは、ウクライナ留学生の日本での就職を支援する取り組みの一つとして3年前から実施いただいており、今回で5回目を迎えました。
インターンシップ最終日となる「フードフェア」では、学生たちが九州産の食材を活用して考案したウクライナ料理4品を来場者に提供しました。また、昨年本学を卒業して岩田産業グループホールディングスに入社した、ソフィア・ユルチェンコさんも来場者に日本語で料理の説明をするなど、学生たちと一緒にフードフェアを盛り上げていました。


カテリーナ・ヴァリシエワさん コメント
日本語を勉強中なので、言葉を理解するのが少し難しいこともありましたが、インターンシップに参加して、日本の食文化や働き方など、いろいろなことを学ぶことができました。展示会では、ウクライナのおいしい料理をたくさんの人に知ってもらえて、とてもうれしかったです。これからも、日本でウクライナの文化を広められるように頑張りたいと思います。


卒業生ソフィア・ユルチェンコさん コメント

本学卒業後、岩田産業に入社
インターンシップの期間中、展示会に参加する学生たちに対して、お客様への接し方の指導や日本語でのサポートを行いました。今回提供するメニューのアイデアも、学生たちが意見を出し合い、何度も検討と試作を重ねて完成させたものです。一人ひとりが積極的に取り組む姿勢がとても嬉しく、10日間のインターンシップを通して、彼女たちの大きな成長を感じました。
私が岩田産業に入社を決めたのは、「ウクライナ料理を日本で広めたい」という強い思いがあったからです。例えば、日本でもよく知られている「ボルシチ」という料理がありますが、これがウクライナ発祥であることを知っている人は意外と少ないことに驚きました。だからこそ、今回のような機会を通じて、多くの方にウクライナの食文化を知っていただけることに大きな意義を感じています。
今後も、日本とウクライナの“食”を通じた架け橋となれるよう努力していきたいと思います。
岩田産業株式會社 代表取締役社長 岩田 章正 氏 コメント

私たちが目指しているのは、一時的な支援ではなく、継続的なつながりを生み出すことです。イベントだけで終わらせるのではなく、長く支え合う仕組みに発展させたいと考えています。
特にウクライナからの留学生を受け入れてきた経験は、社内に大きな変化をもたらしました。
これまで外国人の方と一緒に働く機会は少なかったのですが、彼らが身近にいることで、戦争の現実をニュースではなく本人の言葉を通して知ることができました。寄付だけでは得られない「生きた学び」です。
平和の尊さは、当事者の声を直接聞くことで初めて深く理解できます。愛する家族や友人が戦地にいる人の話を聞くと、その重みを実感しますし、社員も同じように感じています。そうした現実を知ることで、自分たちの仕事に意味を見いだし、「この仕事を通じて少しでも状況を改善できるのではないか」という思いを持つようになりました。
こうした経験は、社員のやりがいや働き方にも良い影響を与えています。単に業務をこなすだけでなく、その先にある人々の暮らしや未来を意識することで、仕事の意味が深まるのです。
このような取り組みがさらに広がり、社会に良い循環が生まれていけばと願っています。私たちは世の中の関心が薄れてきても、できることを地道に続けていくつもりです。
ウクライナ留学生担当 松﨑進一准教授 コメント

受け入れから就職指導まで一貫して支援
ウクライナからの留学生の受け入れを始めて3年半が経ちました。これまで多くの企業や団体の皆さまにご支援をいただいており、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。特にインターンシップや企業訪問の機会を通して、学生たちは社会とのつながりを実感し、将来への視野を広げています。
ただし、当初の「人道支援としての採用」というフェーズから、現在は「戦力として活躍できるか」を問われる通常の就職活動へと変わりました。
そのため、学生たちにとって就職活動は非常に厳しいものになっています。今では日本人学生とまったく同じ条件で評価され、能力と適性を求められています。
学生たちは皆、将来について葛藤を抱えています。家族のことを思えば帰国したい気持ちがありながら、一方で日本で経済的に自立し、その力でウクライナを支援したいと考える学生も少なくありません。生活のためのアルバイトに加え、将来的には日本での就業を通じて祖国の復興や家族への支援、さらにはウクライナへの経済的な貢献を目指す声もあります。
私自身は、そうした学生たちが日本とウクライナ双方の発展に貢献できる人材へと成長し、社会で活躍できるように育てる責任を強く感じています。特に日本の就職活動は、ウクライナとは大きく異なり、エントリーシートや志望動機の書き方、面接、SPI試験、さらにはグループディスカッションなど、多くのハードルがあります。
一度にすべてを伝えるのではなく、学生一人ひとりの成長に合わせて段階的にサポートしています。
特にエントリーシートでは、定型的な書き方や説得力のある文章構成を理解しないと、書類の段階で選考から外れてしまいます。こうした点を丁寧に指導しながら、面接対応、SPI対策、グループディスカッションの練習なども支援しています。学生たちは非常に努力家で、多くが企業から内定を得るまで成長しています。
企業の皆さまには、ぜひ学生たちのポテンシャルを見ていただきたいと願っています。彼らは語学を中心に学んできたため、日本語能力ではまだ課題を抱える場合もありますが、伸びしろは大きく、人間的にも非常に真面目で誠実です。自己肯定感やリーダーシップも高く、経営学を学ぶ学生たちも多く、日本の職場で十分に活躍できる素養を備えています。
支援は、今まさに継続が必要な段階です。むしろ現在こそが、緊急性の高いサポートが求められる時期だと感じています。これまで寄せられてきた多くのご支援に深く感謝するとともに、今後も学生たちが未来へ向かって力強く歩み出せるよう、皆さまのご理解とご協力をお願いしたいと思っています。